積まれた少年雑誌

みなさまこんにちは

最近で一番ハマった漫画は「チェンソーマン」なITカレッジ愛西新人スタッフです✋

 

 

 

面白いですよね「チェンソーマン」

 

その作者である「藤本タツキ」先生の読み切り「ルックバック」が7月19日月曜日、

少年ジャンプ+にて無料で掲載されました。

 

 

この作品を読んで心揺さぶられ、完成度、込められたメッセージ

その名作ぶりにこれはぜひ様々な人に読んでもらいたい、という思いに駆られ

どうしても紹介したくなったので今回の記事で取り上げさせてもらおうと思います。

 

 

まだ読んでいない方はまず読んでみてください。

 

 

ルックバック[読切]

「ルックバック」- 藤本タツキ
学生新聞で4コマ漫画を連載している小学4年生の藤野。クラスメートからは絶賛を受けていたが、ある日、不登校の同級生・京本の4コマを載せたいと先生から告げられるが…!? <span class="su-quote-cite"><a href="https://shonenjumpplus.com/episode/3269754496401369355" target="_blank">「少年ジャンプ+」</a></span>

 

 

 

 

 

※ ここからネタバレあり ※

 

 

ではここからはネタバレありで扱っている題材や元ネタなどに触れていこうと思います。

 

 

・題材について

まずこの公開された日にちが7月19日月曜日なんですが、この前日7月18日は

「京都アニメーション放火殺人事件」が起きた日付です。

今年で2年になりますが、とても痛ましい事件でした。

 

 

亡くなられた方々にご冥福をお祈り申し上げます。

 

 

「ルックバック」はこの事件に対する「藤本タツキ」先生の哀悼作品でもあります。

18日は日曜日で事件日での公開とはなりませんでしたが、

作中の事件の類似性、また作中で被害にあう主人公の親友「京本」に

[京]の字が込められていることからも藤本先生の思いが見て取れると思います。

 

 

・「ルックバック」の意味

まずはタイトルでもある「ルックバック」の意味を見てみましょう。

 

look backとは
振り返って見る、(…を)回顧する、追憶する、しりごみする、うまくいかなくなる、後退する<span class="su-quote-cite"><a href="https://ejje.weblio.jp/content/look+back" target="_blank">「weblio」</a></span>

 

作中で主人公の藤野は事件が起こった後にまず自身の行動を後悔し、

漫画を休載します。

「うまくいかなくなる、後退する」

 

 

その後、京本の部屋の前で不思議な出来事が起こり部屋に足を踏み入れ

後ろを振り返ります。

「振り返って見る」

 

 

そこにはかつて京本が着ていた背中部分に自身がサインした服が見えます。

そして過去を追憶します。

「回顧する、追憶する」

 

 

綺麗に全ての意味が含まれていますね。

 

 

京本「背中にっ!!背中の服にサインくださいっ!!」

また、直訳すると「背中を見て」という意味にもなります。

作中では背中を意識させるシーンが多々ありました、後ほどそれについても話します。

 

 

・さらなる意味、元ネタ

またタイトルに込められた真意は「ルックバック」だけではありません。

元ネタという部分にもなりますが、まずはこちらの画像を。

黒板に「Don’t」タイトルの一部に「In Anger」

1ページ目の1コマ目「Don’t」、ラストページに「In Anger」という文字があります。

ここに「ルックバック」を含むと「Don’t Look Back in Anger」となります。

 

 

これは、

Oasis「Don’t Look Back in Anger

という有名曲があるのでそこからだと思われます。

 

訳は「怒って過去を振り返らないで」「過ぎたことに怒らないで」といった感じでしょうか。

またこの曲はマンチェスターテロ事件の礼拝式で歌われる合唱曲でもあります。

名曲なのでぜひ日本語訳と合わせて聴いてみてください。

 

 

では、歌詞の一部を見てみましょう。

 

“Her soul slides away, but don’t look back in anger I heard you say”

 

“彼女の魂は離れてく、「でも過ぎたことに怒らないで」と

君が言ったのが聞こえたんだ”

 

 

藤野「京本も私の背中みて成長するんだなー」背中に「藤野歩」の文字

「私の背中を見て成長しろ」と言っていた藤野が京本の服の背中を見る。

その後に過去を振り返り、その過去の思い出を振り返る際に

「漫画なんて描くものじゃなくて見るものだと」と言う藤野に対し

京本は訪ねます「じゃあなんで描いてるの?」と。

 

そこには藤野が書いた漫画を嬉しそうに読む京本の姿。

そして藤野は立ち上がり、前を向き、漫画を描くために机に向かいます。

 

 

”Don’t Look Back in Anger”

 

 

 

この作品は見事に「ルックバック」のあらゆる意味が全て含まれていますし、

全部読むことで「Don’t」と「In Anger」を含んだ隠しタイトルが完成するその構造。

(最後に「In Anger」が足されるのもポイント。

途中までは「Don’t Look Back」で「振り返るな」という意味までで

最後に「”怒り”で振り返るな」になる、と個人的に思ってます。)

 

「背中を見て」という意味をうまく使ったラストへの布石。

そして背中を見て最後は前に進む主人公藤野。

 

 

見事なタイトル、見事な漫画としか言いようがありません。

 

 

私はこの漫画を読んだ後に「Don’t Look Back in Anger」を聞きながら

漫画を追憶しつつ夜中に一人涙していました。

本当にとても面白く、完成度の高い読み切りです。

 

 

この作品は

「”悲しみ”や”怒り”で過去を振りかえって足を止めないで欲しい」

という思いのもと書かれた作品だと思います。

 

 

私達にも悲しいことや辛いこと、様々な困難に遭遇することもあると思います。

立ち止まることや過去を振り返り悩む事も多いです。

それでも最後は前を向いて進んでいけるようにしていきたいですね。