長島観光開発株式会社
取締役人事部長 竹市 昭さん
インタビュアー 山下 広幸(NPO法人 障害者雇用創造センター 理事)
企業の意識も変わってきている!
頑張っているから私も頑張ろう
山下 御社は職場実習の受け入れなど、積極的に障がい者雇用に取り組まれていますが、そのきっかけを教えて下さい。
竹市 正直なところ、最初のきっかけは障がい者の法定雇用率でしたね。それに伴い積極的に行政の行事や面接会には必ず参加するようになり、採用については常に前向きに進めています。
山下 障がい者の採用にあたり、職種・配属部署などの問題はありましたか?
竹市 ナガシマスパーランドでの採用となるとサービス業ということもあり、最初はどうしても身体障がい者の採用が多かったですね。ただ、今では知的障がい、精神障がい者の求職が多い状況ですからそちらにも目を向けています。
山下 最近では知的、精神障がい者の雇用もされているのですね?
竹市 積極的に雇用させていただくようになりました。障がい者を雇用することについて特に問題はないのですが精神、知的障がい者の雇用経験が少なかったため、対応の難しさを感じることもありました。
山下 平成30年以降精神障がい者の雇用が義務化になっておりますが、役員会や社員研修など社内でどのような体制づくりをされていますか?
竹市 雇用してからの対応ではなく、先に社内のみんなに理解してもらうようにしています。障がい者雇用の現状を説明し、現在の雇用は身体障がい者が多いですが、これからは精神や知的の障がい者の受け入れを進めたいと伝えています。他にも、障がい者雇用をするための資料を配布し、常に受け入れ体制を整えています。
山下 社員の方の理解が重要になってきますよね。御社の業務には、多くの部署が存在すると思いますが、あらかじめ雇用する先の部署を決めて採用をしているのですか?
竹市 なるべく障がい者を受け入れた経験がある部署に配属する様にしています。コミュニケーションが大事なので、臨機応変に対応できる部署で受け入れるようにしています。職域は増やすようにしてきているので、スパーランド以外でも清掃関係だけでなくランドリー(洗濯)業務、調理補助、なばなの里での花木育成やパン工房でのパン作り等があり、障がいの特性を考えて部署に配属できるようにしています。
山下 就労場所が多いのは、魅力的ですね! その分、大変なこともたくさんあると思います。障がい者採用は、主にどのようなルートからですか?
竹市 ハローワーク主催の面接会に必ず出席させてもらっていますし、ハローワークに求人も出しています。現在は県の雇用対策課から委託されたコンサルタントに入ってもらい、この地域に住む障がい者の就業体験も実施しています。それと同時にハローワークからの紹介で特別支援学校からの職場実習も受け入れています。
山下 職場実習を前提にして採用するかどうかを決めていくのですね?
竹市 それもありますね。まず、職場実習の前に面談をして実習希望者が業務内容に合うかを相談し、実習を行うことで適正があるかを見ながら、将来的に定着できるように進めていきます。
山下 障害福祉サービスを利用している方も積極的に採用されているとのことですが、障害福祉サービスを利用している方を雇用するメリットはどのようなことですか?
竹市 こまめに支援員のフォローがあり、かなり助かっています。具体的には支援員が定期的に来て現状確認と合わせて相談にも乗ってくれますし、私達社員もわからないことや問題となっていることを相談できます。
山下 なるほど。障がい者の方も支援員には、本音の部分を打ち明けやすく、支援員が双方の間に入ることで定着に繋がっているケースは多いと思います。
― 長島観光開発さんが求める人材を教えていただけますか?
竹市 自分で考えて自分の考え方で進んで行ける方ですね。あと、コミュニケーションが大事なので協調性を持っている方で、横で困っている人がいたらその仕事を手伝ってあげられる気持ちをもっている方ですね。
山下 自発性と協調性を重視しているということですね。
― 現在、求職者は圧倒的に精神障がい者が増えていますが、未だに精神障がい者を受け入れない企業も多数存在します。それについてはどう考えられていますか?
竹市 弊社としましては、受け入れていく気持ちはあります。長島にも精神障がい者はいらっしゃいますので率先して障がいを問わずに受け入れていくつもりです。
山下 最後に今、就職活動を頑張っている障がい者の方にメッセージをお願いします。
竹市 ここ数年で企業の障がい者雇用に関する考え方も変わってきています。障がい者の雇用の門を閉じているわけではなく、大きく門は開いています。各企業はみなさんの就労意欲に対し、障がいをしっかり理解した上で受け入れてくれるはずです。心を開いて面接会や企業に飛び込んで行ってください。
山下 企業側の意識も変わってきているということですね。求職者もただ待っているだけではなく、就労意欲を高め、企業の戦力となる人材になれるよう努力が必要だと思います。本日はどうもありがとうございました。