7月25日、真夏の日差しが照りつけるなか、弥富市にある「就労継続支援B型フレーベル」で年に一度のイベントが開催されました。地域の子どもたちや近隣にお住まいの方々が集まり、約100名にのぼりました。
そして今年は、事業所の前に導入されたトレーラーハウスが、はじめて皆さんをお迎えした日でもありました。猛暑のなかで無事に終えたイベントを振り返りながら、地域との交流にかける想いと、トレーラーハウスがこれから担う役割について、NPO法人障害者雇用創造センターの渡邉理事長に伺いました。
猛暑のなかで — 「無事に終えることができて良かった」

フレーベルイベントを7月25日に開催されましたが、終えられた今のお気持ちをお聞かせください。
まず、何より 暑かった というのが正直なところです。あとから知ったのですが、この日の弥富市の最高気温は39.8度だったそうで、そのなかでも何とか終えることができました。無事に終えられて良かったな、と思っています。

もともとフレーベルイベントは、9月の頭ぐらい、もう少し涼しい時期にやっていたんです。ただ今回は、事業所のところにトレーラーハウスを導入しまして、それに合わせた形にしました。導入したばかりのトレーラーハウスをどう活用できるのか、実際に試してみたかったので、暑いなかではあったのですが、7月25日にやらせていただきました。
トレーラーハウスの名前は Hakoniwa(はこにわ)。地域の方々とのふれあいの場として、これから活躍していく予定です。

『Hakoniwa(YATOMI BASE)』に込めた想いはこちら
年に2回、地域とつながる — イベントが生まれた経緯
今回のイベントは、どのような経緯で開催されることになったのですか。
フレーベル では、地域の子どもたちや、西中地という地域にお住まいの方にも参加していただけるイベントを年に1回行っていて、今年で3回目になります。それとは別に、サツマイモが収穫できる時期に、芋を掘ったり焼いて提供したりというイベントもやっていますので、基本的には 年に2回、地域の方々と交流できるイベントをやっていこう というのが、もともとの目標なんです。
このイベントを通じて、どのようなことを地域の方々に届けたいと考えていましたか。
フレーベルは開所してもう4年になります。たくさんの方が通っているな、というのは知っていただいていたと思うのですが、地域の方々にとっては「あの事業所は どんなことをやってるんだろう」という状態で、我々の活動をなかなか知っていただけないなというところがありました。
フレーベルを開所した目的も、地域の方々と交流できるような場所にしていきたいというのがもともとのビジョンでしたので、こういったイベントで交流の場を作ることが、そこにつながっているかなと思っております。
暑さ対策と、毎年ひとつの「新しい挑戦」
準備の段階で特に意識されたことは、どんなところでしょうか。
フレーベルの中を全面的に使って、今回は 射的とストラックアウト を設置して遊ぶ場所にしました。

ただ、それは半面だけで、もう半面は休憩スペースに。この時期に外で休憩するのは難しいだろうということで、トレーラーハウスも使っていただいて、空調が効いたところでゆっくりできる場所 を作りました。


来ていただいた皆様が熱中症などにならないように、というところ。あわせて、運営するスタッフもずっと外にいる人間がいますので、極力、休憩を入れながら、皆の顔を見ながら運営していた。それが今回、一番気を使っていたところですね。
毎年、何か新しいことにも取り組まれているそうですね。
遊びに来ていただいた方々が「楽しかった」と思えるイベントにしたいので、毎年 何かしら新しいもの を入れています。今回は、うちのスタッフがどこかで楽しんできたという、砂のなかに石を入れて 宝石探し をするものを新たなチャレンジで。子どもたちが喜んでいる様子が見えましたので、そうした新しいことに常にチャレンジしながらやっていきたいなと思っております。

はじめてお客様を迎えたトレーラーハウス
トレーラーハウスの中では、どのようなことができるのでしょうか。
今回は 休憩所 として利用させていただきました。
実は最初、まだ何も使っていないトレーラーハウスをいきなり祭りで使うと汚れてしまうかもしれないと思って、飲食はやめてもらおうかな、なんてことも考えたんです。でも、それを言ってしまってはね(笑)。かき氷や唐揚げ、ポテトなども提供させていただきました。


今後は、トレーラーハウスを使って 人が集まるような場所、ワークショップといったものをやっていきたいと思っています。今回はキッチン機能が付いていないので、何かしらの形で、軽食なども食べながら人が集まれるようにしていけたらいいなと。
中には、事業所で作られたものも飾ってあると伺いました。
はい。今、事業所で 3Dプリンター を使った制作物を販売していこうという思いもありまして、うちで作ったランプシェードや小さい看板を飾ってあります。見学にお越しの際には、そういったものも見ていただければと思います。

フレーベルでは 多肉植物 も育てておりますので、今後は多肉植物を販売するスペースであったり、寄せ植え教室 のようなワークショップもやれたらなと思っています。

当日の様子 — 顔見知りが、少しずつ増えていく
当日、地域の方々やご参加者の様子はいかがでしたか。
地域の子ども会などにもお知らせをしていて、3回目になりますので、来られているのは もう顔を知っている方々 というところがあります。「ちょっと見に行ってみよう、遊んでみよう」という形で、気楽に過ごせる時間になっていっているのではないかなと思いますね。同じ町内ですので、顔見知りの小学生や、知っている顔の親御さんが見えるなかで来ていただいている。交流の場を少しずつ作っていければ と思っています。
今回は来場された方に、将来的な計画として、カフェのようなものをトレーラーハウスで展開して、近所の皆さんがくつろげるスペースにしていきたい というお話もさせていただきました。そうしましたら「ぜひお待ちしております」と声をかけていただいたので、僕としても、続けていく やりがい になったかなと思っております。
今回は何人ぐらいの方が集まられたのでしょうか。
受付をされて参加された方で、約100名ぐらいだと聞いています。

「あれ持ってくればよかったね」— 子どもたちの声から
参加してくださった方から、どのような声が届いていますか。
運営していて僕が一番楽しいのは、子どもたちが楽しそうだ ということです。トレーラーハウスの中にカードゲームなども用意したのですが、暑いなかでも空調が効いていましたので、そこで遊んでいる子どもたちがいて、楽しめる環境になったかなと思っております。

そこで聞こえてきたのが「あれ持ってくればよかったね」というひと言でした。外に出て、カードゲームを一緒にしたり、友達と遊べるような場所に。そういうふうに用意をしたら、そういうふうに使ってくれるんだなという、後々のトレーラーハウスの活かし方 が想像できた。それが本当に良かったかなと思っております。
一方で、運営の難しさを感じた場面はありましたか。
トレーラーハウスができたことによって、少し 場所が手狭 になってきました。今回は隣の土地を駐車場として使っていましたが、将来的には、今畑をやっている場所なども見ながら、いろいろな活動をしていけたらなというのが目標です。今後は 小さいマルシェ のようなことも年間を通してやっていきたいので、今の課題というより 今後の課題 として、やりやすいスペースにしていかなければいけないかなと思っております。

地域とともに — 自立と共生社会を目指して
このイベントが、地域との関わりにどのような変化をもたらしたと思われますか?
まだまだ小さいイベントですので、地域に何かできたという思いは、これから作っていかなければいけないものかなと思っています。やはり障害のある方の就労支援事業所がどんなことをやっているのか、そこで障害のある方がこんなふうに活動して活躍しているんだよ、というのは、なかなか知っていただけないなと思っているんです。
我々の障害福祉サービスの事業が目的としているところは、自立と共生社会を作る というところで、これはうちの会社の目標でもあります。祭りやイベントの 回数や規模を増やしていく ことで、「年に何回かあそこで楽しめるイベントがあるな」「定期的にトレーラーハウスでワークショップがあるな」と、地域の方々がそこに交流しに来る。それを我々のような 福祉サービス事業者が運営できる。それができていくと、目標としているところが達成していくんじゃないかなと思っております。
これからのワークショップと、「はじめの一歩」の場所

今後のワークショップは、どのような内容で開催していきたいとお考えですか。
やりたいなということは結構いっぱいあります。今の段階でも、手芸のような小物をつくるレクリエーションや英会話教室をやっていますし、うちの ITカレッジ愛西 にはパソコンを教えられる講師がいますので、トレーラーハウスで、障害のある方に向けたものだけでなく 地域の方々にも向けたパソコン教室 をやってもらえたらと考えています。SNSの動画の作り方や、生成AIでこんなことができる、といったことも。そしてそれを 障害のある方と一緒に運営して、うちの事業所のことにしていただきたいなと考えております。
トレーラーハウスを運営していくうえで、ほかにも目的があるとうかがいました。
我々が行っているのは、障害のある方に就労の場を提供し、就職を支援する事業で、就労継続支援A型・B型、就労移行支援、就労定着支援などを運営しております。ただ、こうしたサービスを利用するには、体調面やご本人の気持ちの部分で その一歩がなかなか踏み出せない という方も、この地域にも、世の中全体にも見えるのかなと思います。家で過ごすことが多くなっている方にとって、いきなり就労関係のサービスを利用するのはハードルが高いんです。
ですので、トレーラーハウスのイベントやワークショップに、まず第一歩、外に出て参加してみる。そこで慣れることによって — 実際に運営しているのはフレーベルというB型の事業所ですので、そういったサービスにつながっていく。後々には、いろいろな方々と接しながら何かしらの生産の活動を行って、自立に向けて取り組んでいける。そんなトレーラーハウス事業にしていきたいなと思っております。

結び — 暑いなか、ありがとうございました
最後に、今回のイベントに関わってくださった皆さんへ、一言お願いできますか。
暑いなか、ご来場いただきまして誠にありがとうございます。来年度は、もうちょっと涼しい時期に行いたいと思いますね(笑)。秋にはまた サツマイモ。今年もたくさん植えましたので、芋掘りイベント と、焼き芋などの販売も予定しています。ぜひ買い求めに来ていただいて、芋掘りイベントにも参加していただけたら大変嬉しく思います。
そして、運営していただいたスタッフへ。普通の業務以外のイベントをやっていくというのは、準備も含めて非常に大変なところです。このイベントを楽しくしようと思って、一生懸命準備をしていただいたスタッフに、本当に感謝しております。ありがとうございました。

インタビュー対象者プロフィール
渡邉 盛時 氏
NPO法人 障害者雇用創造センター 理事長
「社会で活躍できる人材と環境を創造する」という理念のもと、愛西・弥富の2拠点で就労移行支援・就労継続支援A型/B型を展開。2026年度は新経営理念「出会いを笑顔へ」を掲げ、10年ビジョンとして三拠点化を推進。トレーラーハウスや3Dプリンターを活用した六次産業化、デジタルファブリケーション事業など、地域とともに歩む新しい福祉の形に挑戦し続けている。
※この記事は2026年7月の取材に基づいています
取材:福本 / 撮影:Nao kamohara / 編集:細野・平賀
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